助け求めるのが下手/離職に追い込まれ…
発足会で参加者にあいさつするネットワークの役員ら(北区の立命館大で)
「社会、企業の理解広めたい」
妻や親などを介護する男性を支援するため、8日、京都市北区の立命館大で発足した「男性介護者と支援者の全国ネットワーク」(事務局・上京区)。集会では、男性が介護に取り組むため、離職を余儀なくされたり、孤独感に押しつぶされそうになったりしている実態が克明に報告され、出席者は同じ境遇の人たちの連帯と、社会の環境作りの大切さを確認した。
府内外から約160人が出席するなか、母の介護経験がある社団法人「認知症の人と家族の会」代表理事の高見国生さんが記念講演。高見さんは「男も女も人口は半々だが、介護者に占める男性の割合はまだ3割にとどまっている」と現状を説明した上で、「男性介護者は周囲に助けを求めるのが下手だ。介護は一人ではできず、仲間の協力が不可欠だ」と力説した。
また事務局は、厚生労働省が行った2007年度高齢者虐待調査で、加害者の40・6%が息子、次いで15・8%が夫という結果が出ていることを紹介。男性は責任感を持ち、目標設定して介護に臨むなど、きまじめな一方で、うまくいかないと落ち込んだり、介護する相手に八つ当たりをしたりする傾向があることなどが報告された。
参加者からも様々な介護の悩みが寄せられた。認知症の妻(58)を介護する西京区の芦田豊実さん(60)は一昨年、勤務先の会社から東京への転勤を命じられ、妻の介護環境を変えたくないと拒否し、会社を辞めた。芦田さんは「認知症の症状は十人十色で、介護情報を共有してヒントにしたい。介護離職を避けるためには社会や企業の理解が欠かせない」と話した。
千葉県佐倉市の内田勝也さん(71)は、妻(65)が49歳で認知症を発症。「妻が病気になったのは家庭を顧みなかった自分のせい」と自らを責め、家族に頼らず、一人で介護に臨んだ。しかし自身もやがて大腸がんを患い、「孤立していては妻のためにもよくない」と思うように。治療で入院する間、妻を介護してくれる施設探しに奔走した経験を明かし、「ネットワークで情報を発信、交換していきたい」と力を込めた。
事務局長を務める津止正敏・立命館大教授(地域福祉論)は「介護保険制度ができて10年がたつが、最後は家庭で面倒を見るという仕組みに変わりはなく、国の政策の不十分さが浮き彫りになっている。ネットワークを通じて男性介護者の声を集め、社会に発信して風穴を開けたい」としている。
問い合わせは同ネットワーク(075・811・8195)へ。
(2009年03月10日 読売新聞)