◆社内に根付く「技術重視」◆
尾上寿作は、毎年、京都の伏見稲荷大社へ足を運んだ。その御分霊である「お稲荷さん」が、本社敷地内にあり、毎朝、参拝するのが日課だった。
尾上の死後の2001年9月、長男で現会長の尾上寿男(67)が、初めて伏見稲荷を訪れた時のことだ。近くの茶屋に立ち寄ると、店員のおばあさんから寿作の話を聞いた。「ここにある御剱(みつるぎ)社は技術の神様で、長い間、お参りに来てました」
技術を重んじる社風は、研究開発投資額にも表れている。2003年3月期の売上高(単体)に占める割合は、14・8%と上場以来最高になり、製造業全体(4・0%、総務省調べ)と比べても高い。尾上が創業70周年を機に89年に設立した中央研究所を核に、研究開発が進められている。
貨幣・紙幣処理機や自動販売機といった既存事業に加え、新たに取り組んでいるのが、電子マネーの分野だ。今年3月には、携帯電話を使ったクレジット決済のシステムを、KDDIなどと共同で開発した。
病床に伏してから、死ぬ間際まで、「新製品はどうなった」と言い続けた尾上の思いは、今も会社に息づいている。(敬称略。白櫨正一が担当しました)
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