ニュース 速報 YOMIURI ONLINE(読売新聞)
現在位置は
です

本文です
ニュース/社会

聴覚障害者が獣医師目指し山大入学 講義支援に試行錯誤=山口

◆事前資料渡すなど対応

 耳の不自由な二川雄一さん(20)が今春、獣医師を目指して山口大農学部(山口市)に入学した。同大は、講義を理解しやすいよう支援策を講じているが、今後、専門科目が始まれば、一層の対策が必要になりそうだ。初めてとなる聴覚障害者を受け入れた同学部獣医学科の教員らは、試行錯誤を重ねている。

 宇部市出身の二川さんは、3歳の時、聴力が十分でないことが分かった。程度は2級で、補聴器がなければ近くの会話も聞き取れない状態。だが、「弱い立場の動物を守りたい」と同学科に進んだ。

 同大は昨年度、「修学に障害のある学生に対する支援に関する基本方針」を策定。教育センターや学部、学科の担当者らが、二川さんの入学前から話し合いを続けながら、受け入れ態勢を検討した。教壇に立つ教員には、補聴器に直接声を届けるFMマイクを装着したり、講義内容や資料を事前に渡したりするよう要請。勉強会も開き、「唇の動きを読むので、板書の時は話さない」、「目を見てゆっくり話す」などを学んで対応した。

 しかし、今秋からは専門的な講義や実験が始まる。同学科教員らで作る支援委員会は、「難解な専門用語をどう伝えるか」、「実習中に大型動物が興奮した場合、どのように危険を伝えるか」、「聴診をどうするか」――などの課題を想定し、難聴の医学生がいる大学での見学などを計画している。

 二川さんは、「獣医師にはいろいろな仕事がある。在学中に自分に合った分野を探したい」とし、同学科では「二川さんに分かりやすい講義を心がけることは、講義全体の質が向上し、ほかの学生にも良い影響が出るのではないか」としている。

 大学の取り組みとは別に、2005年に発足した「県聴覚障害学生の講義保障研究会」(入谷順子会長)は30日、山口市の県社会福祉会館で講義保障を考える集会を開く。また、10月13、14日に同市の県教育会館で、障害者のために教員の発言を記録する「ノートテイカー」の養成講座を開く。同会メンバーで二川さんの母真知子さん(56)は、「後に続く学生のためにも、支援の手がほしい」と訴えている。問い合わせは、入谷会長(083・932・6499)へ。

2007年09月25日  読売新聞)
現在位置は
です