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札所周辺見て歩記二十二番・平等寺(徳島県阿南市)

「見える」なで仏に感謝


健康を願い、賓頭盧様をなでる参拝客

 阿南市の市街地を抜け、国道195号を車で南西にしばらく走ると、青々とした竹林が広がっていた。タケノコ産地・新野(あらたの)町だ。桑野川の水面が、咲き始めた桜を映している。

 第二十二番札所・平等寺は、山の斜面を切り開いて建っていた。寄せ木造りの仁王門をくぐると、本堂に急な石段が続き、脇に井戸があった。万病に効くとされる「弘法の水」。平等寺には、たくさんの人たちが健康を願って集まるという。

 その象徴が、本堂に上がって右手すぐに安置されている真っ赤な仏様。近くを掃き清めていた女性に聞くと、「これは『賓頭盧(びんずる)様』と言うんですよ。なでてみてください」。釈迦の弟子の一人で、「なで仏」とも呼ばれるという。病やけがに悩む人が、賓頭盧様の、自分の患部と同じ場所をなでると治るそうだ。

 本堂の左側、長いすの上に額が置いてあった。中に手紙があり、「奉献」と書いてある。礼状のようだ。

 「私が2年程前に目を悪くし、失明寸前のところ、この仏様に祈願し、覚え立ての般若心経を唱えたその日から急に良くなり、3日で治りました。誠に有り難いことで、感謝の申しようもありません。本日お礼参りにあたり、これを奉納させていただき、いつまでも遠地より拝ませていただきます」などと記されている。

 どういうことだろう。気になって、礼状に書いてあった送り主の鳴門市、西川恭之さん(77)に会いに行った。

 西川さんは1996年8月、畑で操作していた草刈り機が小石をはね、両目の間を直撃したという。「目の前が真っ白になり、何が起こったのか、よくわからなかった」

 辺りの景色がかすみ、よく見えなくなったという。妻に付き添ってもらい、眼科を受診すると、視力1・5あった自慢の目で、検査表の一番大きな「C」が見えない。「目の神経が傷付いている。手術でも治りません。2か月ほど安静にしてみましょう」と診断された。

 医者は、知人たちと翌朝予定していたお遍路参りを、危ないからと反対。しかし、グループの中で般若心経を唱えられるのは自分だけだったため、強行した。

 平等寺には、車で連れてきてもらった。寺に続く石段を前にしても、ほとんど見えず、はうようにして本堂まで上がった。赤い塊に見えたのが、賓頭盧様。同行の知人に促され、仏様の目に手を伸ばした。「早く見えるようになりますように」。何度もなでた。

 知人らと平等寺を出て、第二十三番札所・薬王寺(美波町)を経て、第二十四番札所・最御崎(ほつみさき)寺(高知県室戸市)がある室戸岬へ。太平洋に向かい、西川さんは目に異変を感じた。夏の日差しに、海が輝いている。「見えるぞー」

 「ありがたい。不思議なことがあるもんだ。大師を信じてよかった」。視力は完全に戻り、礼状を額に入れて持って行った。以来、年に何度か寺を訪れるという。見えるありがたさを実感しながら、今も農作業に励んでいる。

 西川さん方から寺に戻り、賓頭盧様の頭をそっとなでた。鐘の音が境内に響き、鈍く光る赤い体から、健康を願う人たちの強い祈りが、伝わってくるようだった。

(畑中俊)   

【平等寺】

写真:平等寺
急な石段が続く途中にある仁王門

 寺院の名に冠する称号・山号(さんごう)は白水山で、本尊は薬師如来。815年頃、弘法大師が当地で100日間修行した後、薬師如来を彫って本尊として安置し、人々が平等に救済されるようにと名付けたとされる。白水山の名は、大師が祈とうに使う水を求めて井戸を掘ると、白い乳白色の水がわき出たのが由来という。

 ご詠歌は「平等に へだてのなきと 聞く時は あら頼もしき 仏とぞみる」。

 JR牟岐線新野駅下車、約2.1キロ。徒歩25分ほど。阿南市新野町秋山177。

周辺案内

地図:平等寺周辺

IL観戦にぎわう


広々としたアグリあなんスタジアム

アグリあなんスタジアム

 2007年5月にオープンした徳島県南部健康運動公園の中核施設。両翼100メートル、センター122メートルで県内トップクラスの広さ。約5000人を収容できる。観客席には障害者用もあり、バリアフリーにも配慮している。四国・九州アイランドリーグの徳島インディゴソックスのホームグラウンドで、観戦にたくさんの家族連れらが詰めかける。阿南市桑野町桑野谷34の1。(電)0884・26・1885。


樹齢750年 新野の象徴


クスの大木が生い茂る轟神社

(とどろき)神社のクス群

 轟神社境内にある10本の大クス。いずれも樹齢750年以上とされる。青々とした葉を茂らせる神社のご神木。幹周りは太いものは7メートルを超える。近くの自転車販売業、上田一二さん(78)は「新野のシンボル。山から吹き下ろす風を防いでくれるし、夏は日陰を作ってとても涼しいんですよ」と話す。県天然記念物。阿南市新野町北宮ノ久保4。


新鮮さに自信あり


笑顔でミカンを売る森久光さん(左)と美代子さん

もり青果

 森久光さん(78)が妻美代子さん(75)と2005年2月、倉庫を改装して開店。徳島産ミカン、高知産ブンタンといった果物のほか、野菜、酒も並べる。徳島市内の青果市場から新鮮な品々を仕入れており、夫婦は「楽しんで商売させてもらっています」と笑顔を絶やさない。午前7時〜午後7時。年中無休。阿南市新野町花坂21の6。(電)0884・36・3144。


2009年04月02日  読売新聞)

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