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社会全体で見守る意識を「モンスターペアレント」という言葉がある。学校などに理不尽な要求を突きつける保護者を意味し、数年前から教育関係者の間で話題になり、昨年、テレビドラマでも取り上げられた。京都市教委が弁護士ら専門家チームによる教員の支援を行うなど府内でも対策が進められているが、学校現場の困惑は続いている。背景には地域社会から孤立し、子育てに悩む保護者の現状があるという。 (沢野未来)
京都市立小の男性教諭(30)は毎朝、憂うつになる。「辞めてしまえ」。児童から提出される保護者との連絡帳で、ある母親がいつも数ページにわたって、男性教諭への批判を書き連ねているからだ。 この母親は、頻繁に学校を訪れ、担任教諭や校長に放課後4、5時間、発達障害の我が子への対応が不十分だと訴えるという。前任者は休職し、男性教諭は「現場の教諭だけで受け止めるのは限界だ」と話す。 ある市立中学校では、「子どもがいじめられた」とする父親が放課後、いじめたとされる生徒を捜して教室にどなり込んだ。たまたまその生徒はおらず、教諭らが「いじめではなく、生徒間のトラブル」と説明した。市教委の担当者は「生徒間のトラブルは大人が介入せず、見守る方がいい場合もあるが、保護者が学校に来るのを禁止することもできない」と苦慮している。 □ ■
文部科学省が2006年度に実施した教員勤務実態調査によると、保護者や地域住民への対応が増えたと感じる教員は、小学校で74・9%、中学校で70・6%、高校で62・4%に上る。 こうした現状を踏まえ、府教委は07年11月、学校向けに、保護者からの苦情についての対応方法を冊子にまとめ、今年4月に改訂版を作成。京都市教委は07年8月に医師、弁護士、臨床心理士、警察官OBら14人からなる学校問題解決支援チームを結成、これまで19件にかかわった。 19日に開かれた同チームの月例会議では、学校への不信から保護者が子どもを登校させないケースが報告された。最近、同様の事例が目立つといい、メンバーの一人は「学校は行かなければいけない所という価値観が崩れている中での対応を考えなければ」と悩む。 □ ■
保護者が怪物視されるような言動を取るのはなぜなのか。府総合教育センターの山口恭一所長は「学校の先生を師ではなく、物の言いやすい公務員ととらえているため」としたうえで、学校側の問題点も指摘する。「その場しのぎの対応が不信を招き、要求をエスカレートさせている」。 大谷大学文学部の岩渕明信准教授(教育学)は「核家族化が進み、地域社会のつながりも希薄になり、保護者がどこにも子育ての相談をできない」という保護者の現状が背景にあるとし、「子どもを中心に、保護者と教員が協力しあうのが教育の原点。学校だけでなく、社会全体で子どもを見守る意識が必要だ」と話す。 解決の糸口を探す地道な努力が、求められている。 (2009年6月29日 読売新聞)
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