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奈良・キトラ古墳
白虎も右向きのワケ


キトラ古墳の白虎(文化庁提供)

 奈良県明日香村のキトラ古墳壁画の四神(ししん)は、時計回りのように循環して描かれたのではないか――。奈良文化財研究所飛鳥資料館の加藤真二・学芸室長が、そんな興味深い説を打ち出した。

 根拠は、東壁の「青龍(せいりゅう)」と西壁の「白虎(びゃっこ)」が、ともに右を向いていることだ。方角で見ると、それぞれ南と北で正反対となる。加藤室長の調査によると、中国の墓誌にみられる四神51例のうち、青龍と白虎が同じ向きなのは8例だけ。主流は左右互い違いで、それらはいずれも南を向いている。四神の基になった星座群の位置が関係して、南向きに描かれたらしい。

 ただ、時代の古い銅鏡に描かれたものには、同じ向きの例がある。中には、四神が邪気をはらい、陰陽や時間の動きを整えるという趣旨の銘文も伴う銅鏡もあるという。


キトラ古墳・青龍の復元図。白虎と同じ右向き

 そこから加藤室長は、キトラの右向きは「陰陽五行説の気が循環する姿を描いたから」と考えた。キトラの四神は、南壁の朱雀も右向き。北壁の玄武は左向きだが、頭は後ろを振り返っており、右向きと言えなくもない。

 また、「書物などから得た以前の知識だけで描かざるを得なかったことも理由の一つではないか」と推測する。キトラの築造を7世紀末とすると、遣唐使が中断していた時期にあたり、唐の最新情報を知らないまま描いたというのだ。

 キトラより新しいとされる高松塚古墳の青龍・白虎が、ともに南向きなのは、遣唐使の再開(702年)後、唐から情報が得られるようになったためと推論すれば、加藤説もうなずける。向きの違いは、古代人が流行に敏感だったことの表れなのかもしれない。

 キトラの四神のうち青龍と白虎はきょう8日から24日まで、同資料館で一般公開される。

(早川保夫)
2009年05月08日  読売新聞)

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