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吉本TOB 有力メディア強み集約…番組制作力を向上吉本興業が11日に発表した株式の非公開化計画には、これまで関係が深かった民放各局に加え、通信大手のソフトバンクやヤフー、広告会社の電通、パチンコ大手の京楽産業など多彩な企業が出資者として名を連ねた。新生吉本は、歌やスポーツを含めて多角化したコンテンツ(番組)を生かしたい企業との資本関係を強化しつつ、特定の株主の意向に左右されない自由度の高い経営体制を目指す。有力メディアが強みを集約することで、収益の源泉となるコンテンツの制作力を強化できるとみている。 テレビの思惑投資会社クオンタム・エンターテイメントは、吉本興業に対する株式公開買い付け(TOB)を14日に始める。買い付け価格は1株あたり1350円で、期間は10月29日までの30営業日。買収総額は約506億円で、民放をはじめとする13社などからの出資で計240億円、三井住友銀行など大手銀行からの融資で計300億円を賄う。 民放キー局はフジ・メディア・ホールディングスが30億円、日本テレビ放送網など3社が20億円ずつ、テレビ東京が10億円と、5社がそろって出資する。このほかソフトバンクが15億円、電通が10億円、ヤフーが5億円を出す。創業家が代表を務める大成土地(大阪市)も出資する。 クオンタム社の出井伸之代表は、11日の記者会見で「民放各局が出資することで、これまで『顧客』だった吉本との関係が『身内』になる」と意義を強調した。 総務省によると、2008年度に税引き後利益が赤字となったテレビ局は全93社のうち42社と、前年の21社から2倍に増えた。不況の影響でコマーシャルを出すスポンサー企業が支出を絞っているためだ。 民放キー局などが出資に応じたのは、経営環境が悪化する中、新生吉本との資本関係を強化することで「お笑い」を中心とした優良なコンテンツを優先的、安定的に確保したいとの思いがあるからだ。 吉本の狙い吉本にとっても、これまでテレビと劇場が収益の柱だったが、吉本株を買い集めるクオンタムに出資する企業は、吉本が制作するコンテンツを発信する「出口」にあたる業種が大半を占める。コンテンツ販売でインターネットや携帯電話など収益源を多様化できる。 少子高齢化もあって国内市場の縮小は避けられないが、「お笑い」の海外進出はアニメや音楽などとは違って言葉や文化の壁に阻まれやすい。吉本は以前、香港のソフト会社を買収したが、採算が悪化し、今夏に保有株式の大半を売却した。経営基盤を安定させることで海外事業を再構築する狙いもあり、出井氏はアジア展開への期待を示した。 疑問の声もただ、出資企業の間にも温度差があり、ある在京キー局幹部は「出資を断り、うちの局だけが吉本所属の芸能人を番組に起用できなくなると困る。他の放送局が同意したので追随しただけだ」と打ち明けた。 クオンタム社は今後、さらに出資を募る方針だが、株主が多様な業種にまたがることで「利害が衝突する場面もあるのではないか。経営のフリーハンドを握れるかどうかは疑問だ」(アナリスト)との見方がある。 (2009年9月12日 読売新聞)
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